こんにちは!
こうのとりです。
先日、受験を控える職場のお子様のためにと思い、湯島天神に行って参りました。
見てくださいこの絵馬の数!
神様も大変だなぁ~(笑)
たまには神様に「いつもありがとうございます」とだけ言って帰るようにしたいですね!
さて、今回は相続の方法としての、「相続時精算課税」と「贈与の非課税枠(暦年贈与)」の比較です。
お客様の佐竹様(仮称:65才)は、かわいいお孫の将来のためにと、財産を少しでも残してあげたいと思い、贈与を考えていました。
そんな佐竹様が困っていたのは、相続時精算課税を利用すべきか、贈与の非課税枠(暦年贈与)の範囲で贈与をするかというところです。
「相続時精算課税なら2,500万円まで非課税になるんでしょ?」
「贈与の非課税枠(暦年贈与)は1年間110万しかないですからね。」
「でも相続時精算課税にはデメリットも多いと聞きますし。」
佐竹様のおっしゃるとおり、相続時精算課税は、 贈与額の総額から2500万円までが非課税になり、それを超えた分は一律20%の贈与税が課税されるという制度です。
贈与者が死亡し相続税を計算する際に、贈与した財産を遡って加算して相続税を計算します。
一方、贈与の非課税枠(暦年贈与)は1年間110万のみで繰り越しは無いため、23年間に渡って贈与を続けて、ようやく2530万円となりますが、23年間というのが長すぎるとのお考えのようです。
佐竹さんが一番お困りである点は、この相続時精算課税と贈与の非課税枠(暦年贈与)については併用ができないということ。
どちらか一方を選ぶ必要があるのです。
では、一体どちらがお得なのでしょう?
まず、大前提として贈与税は受け取る側が支払う税金であるということをおさえてくださいね。
さて、相続時精算課税については、いくつかの条件があります。
① 贈与者が贈与をした年の1月1日時点で60歳以上
② 贈与を受ける人が贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上
③ 贈与者と受贈者の関係が親子か祖父母と孫
まず、年齢制限が結構厳しいですね。
佐竹さんは、孫の学費のためにとの思いがあったようなので、この条件では20歳以上が対象なので、合致しません。
ちなみに、贈与の非課税枠(暦年贈与)110万円については、相手の年齢を問わないばかりか、家族でなくとも、赤の他人でも贈与可能です。
孫に特別扱いできないのは佐竹さんにとっては少しデメリットになるのでしょうか。
しかしながら、 相続時精算課税については、佐竹様が亡くなるまで累積で2,500万円まで贈与税が非課税となるわけです。
しかも、佐竹様以外から、お孫様が贈与を受けた場合、累積されません。
つまり、佐竹様から2,500万円、佐竹様の奥様から2,500万円、それぞれに対して贈与税が非課税になるわけです。
こんなにお得なら間違いなく相続時精算課税を選択すべき!と思いがちですが、実はそこには大きな落とし穴があります。
贈与税は非課税であるが、相続税は課税されるということ。
しかも、配偶者と一親等の血族(子、親)以外の者が相続で財産を取得した場合には、2割加算が適用(ただし、孫に法定相続人の権利が無い場合)されることになっています!
あらら・・・。
つまり、節税効果としては期待できないどころか、一旦始めたら取り消すことのできないこの制度が、大きな足かせになる可能性もあるのです。
もちろん、使い方によっては節税効果を生む場合もあります。
たとえば、佐竹様がお亡くなりになられた時に、相続財産が全て合わせて基礎控除額以内に収まっている場合です。
この場合にはお孫さんが負担する贈与税はありません。
また、価値が上がることが見込まれている不動産などを相続する場合にも、大きな節税効果を生みます。
例えば、相続時に1,000万円の価値の不動産を孫に贈与したとしましょう。
そして、佐竹さんが亡くなった時に、この不動産が1,500万円の価値になっていたとします。
相続時精算課税を利用した場合、佐竹様が亡くなった際に計算される財産として計上されるのは、1,000万円のみです。
しかし、相続時精算課税を利用しなかった場合、佐竹さんが亡くなった時の価値で財産総額が決められるため、1,500万円が計上されるということです。
このように、不動産の価格が上がることが見込まれているなら、利用する価値はあるでしょう。
とはいえども、不動産の価値が上がるかどうかなんて、プロの不動産投資家だって苦労するところだと思いますがね(汗)
さて、それでも相続時精算課税制度を利用したい場合の注意点を2つご紹介しておきます。
① 110万円以下の贈与でも申告の必要
贈与の非課税枠(暦年贈与)には110万円の基礎控除があるため、年間110万円以下の贈与であれば贈与税が課税されません。
よって、贈与税の申告をする必要もありません。
しかし、相続時精算課税制度を選択した場合には、年間110万円以下の贈与であっても贈与した年は税務署に申告手続きをする必要があるのです。
②小規模宅地等の特例が使えない
小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たした場合に限り、土地の相続税評価額を最大80%減額できる制度です。
相続時精算課税制度を利用して土地を贈与した場合、その土地に小規模宅地等の特例を適用することができません。
小規模宅地等の特例については様々な要件がありますので、確認が必要ですが、と土地の相続税評価額80%の軽減は大きな節税につながります。
今日はこのあたりにしておきましょう。
ちなみに佐竹様は、贈与の非課税枠(暦年贈与)で少しずつお孫さんに贈与することに決めたようでした!
めでたしめでたし!