こんにちは!
こうのとりです。
今年は本当に暖冬ですよね!
私は朝が起きやすくてうれしい限りなんですが、雪を商売にしている観光地やスキー場を営む方にとっては死活問題だそうで・・・。
誰かにとっての幸せは誰かにとっての不幸だったりするんだなぁと、しみじみ感じたわけでございます(笑)
【奥にウグイスがいるの見えますかね? 】
さて、今回ご紹介する案件のお客様は木下様(仮称:48才)です。
木下様は、父親が他界してから、母親と協力しながら相続財産をまとめていたのですが、なんと、隠された多大な借金を父親が抱えていたことが判明しました。
その額、なんと2,000万円とのことで、父親の遺産では到底相殺できません。
困り果てて我々の事務所に来社されたというわけです。
隠された借金が、相続人の死後に判明する。
このような事態は、誰にでも起こりうる事態といえます。
「このやろー!」と文句を言いたくなっても、死人に口なしですしね(笑)
こんな時のために、「相続放棄」という方法が残っています。
これは、故人の財産と負債の全ての相続権を放棄することであり、借金を肩代わりすることから免れます。
そんな 相続放棄については、2つの場面で利用されることがほとんどです。
1つ目は木下様のように、財産よりも借金や負債のほうが多い場合です。
財産よりも借金や負債が多いことが明らかな場合には、相続放棄をするべきでしょう。
なお、借入金については、万が一返済が遅れていたような場合、その遅延損害金や利息についても引き継ぐことになるため、注意が必要です。
2つ目は、相続で争いたくない場合です。
遺産相続をする場合、相続人たちとの遺産分割協議や様々な書類を集めて提出する遺産分割手続きなど、煩わしい手続きや打ち合わせに足を運ぶ必要もなくなります。
もらえる遺産の額がほとんどないことが明白な場合、相続放棄してしまうのも1つの手です。
一方で、相続放棄にはデメリットがあることにも注意しなければいけません。
それは、全ての遺産を相続できなくなるということです。
例えば、仮に被相続人が所有する家に住んでいた場合であっても、家を相続することができなくなるため、最終的に所有者となった者から求められれば、家から出なくてはなりません。
また、後から思わぬ財産が見つかった場合でも相続することができなくなります。
さらに、相続放棄によって相続人が代わってしまうこともデメリットになります。
相続放棄をすると、次の順位の法定相続人に相続の権利が移るのですが、この時、被相続人の財政状況を知らなければどうでしょう?
第2順位である親や、第3順位である兄弟姉妹が、借金を抱えることになってしまう可能性もあるのです。
このような事態を避けるべく、相続放棄をする場合には後順位の法定相続人に現状を伝えておくべきでしょう。
さて、相続放棄にはいくつかの注意点があることも覚えておかなければなりません。
1つ目は、生命保険金や死亡退職金などのみなし相続財産については、相続放棄をしても受け取ることができる点です。
生命保険金や死亡退職金は民法上の相続財産とはされていないのです。
遺産だと思っていたので受け取らなかった!ということがないようにしましょう。
ただし、生命保険金や死亡退職金は相続税法上では相続財産とみなされるため、これらみなし相続財産を受け取った場合には、相続税を支払う必要があります。
その際、みなし相続財産の非課税枠を利用することができなくなることには注意が必要です。
この非課税枠は「500万円×法定相続人の数」で計算されますが、相続放棄をした場合、受領する金額そのものに相続税が課税されることになります。
2つ目は、相続放棄の手続きについては相続があったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に申し出なければいけないという点です。
言い方を変えれば、被相続人が亡くなった後の3か月という期間で、遺産や借金の額を調査して、相続するか放棄するかを判断しなければならないのです。
もし、3か月を過ぎてしまった場合には、単純相続をしたとみなされてしまうため、借金や負債が多い場合はそのまま相続人が受け継ぐことになってしまうので注意が必要です。
なお、3か月以内に相続を放棄すべきかわからない場合には、家庭裁判所に「相続放棄のための申述期間伸長の申請」を行うことができます。
この申請は、期限までに相続放棄すべきか判断することが難しい理由を記入し、家庭裁判所に対して申請を行います。
家庭裁判所は、様々な背景や提出された理由により、伸長の判断をすることになります。
例えば、海外出張で知る由もなかったなども理由の1つになるようです。
申立てには、申立書、被相続人の住民票除票又は戸籍附票、利害関係人からの申立ての場合は利害関係を証する資料、伸長を求める相続人の戸籍謄本などが必要となります。
延長してもらえる期間は一般的には1か月~3か月程度ですが、家庭裁判所の裁量によっては、1年以上の延長が認められることもあります。
さらに、相続放棄の期限を過ぎてしまった場合にも、相続放棄ができる特別な例があるので列挙しておきます。
・ 相続発生後財産調査をしてはいたが、隠れた借金が見つかった
・ その借金の存在を知ってから、3ヶ月以内である
・ 相続した財産の処分に未着手
これらの条件を満たせば、期限が過ぎていても相続放棄が相当と認められます。
万が一の際には、我々に相談してくださいね!
最後に、相続放棄の手続きに必要な書類についてです。
故人の戸籍謄本、故人の住民票または戸籍の附表、相続放棄する人の戸籍謄本、相続放棄申述書などが挙げられます。
これらの書類を依頼者に集めてもらうのが実は案外大変なんですよね(汗)
手続きが面倒くさいから相続放棄したい!と思っても、これらの作業は各々で行っていただく必要がある最低限の作業と考えていただければ良いでしょう。
今日はこのあたりにしておきます。
私の実家は相続についてどう考えているんだろう?
母さんに連絡してみよう!