遺産が不動産しかない!不動産の分割方法

こんにちは!

こうのとりです。

 

コロナウィルス、まだまだ終息しないようですね・・・。

マスクが手に入らないのがほんとに厄介で、一体どこへ消えてしまってるんだ~と思うばかりです・・・。

 

不幸中の幸いとはちょっと違いますけど、毎朝の通勤電車がすごい空いてます!

あんなに押し合い圧し合い、満員電車で通う意味って何なんでしょう?

いろいろ考えさせられる日々です。

 

そういえば、先日佐渡に行く機会がありまして、佐渡金山にも立ち寄ってみました。

世界遺産間近だって聞いてますけど、コロナウィルスが終息しないとお客さん来ないだろうな~。

 

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【歴史を感じる入口でした】

 

さて、今回ご紹介する案件のお客様は新藤様(仮称:42才)です。

新藤様は地方に住むご実家にお父様が1人で住まわれていたのですが、先日他界され、遺産を処分することになったそうです。

相続人としては、配偶者であるお母様がすでに他界されていたこともあり、ご本人と弟、妹の3人ですが、この時に判明したのが、お父様の遺産がご実家の不動産以外、特段残されていなかったこと。

そして、皆で集まってご実家を誰が継ぐのかという話になったそうです。

しかし、3人とも実家に遠い場所に住んでいるため、あまり乗り気ではありません。

もし、実家を相続したとすれば、空き家として管理をしなければいけない上、毎年固定資産税を支払う必要があるためです。

そこで、他に何か良い方法は無いかということで、当事務所へ相談にいらっしゃいました。

 

このように、相続する遺産の中に不動産がある場合は、相続人が納得できるような遺産の分割が難しいことがあります。

たとえば、預貯金や株式、車など、様々な遺産があれば、「長男が不動産を相続する代わりに次男は車と預貯金半額、長女は預貯金半額と株式」など、話し合いで分けることは可能ですが、そう簡単に話し合いが進むわけではありません。

そこで、不動産をさまざまな形で分割することで相続することになります。

 

さて、不動産の分割方法としては主に次の4種類の方法がありますが、それぞれメリットとデメリットもあるため、どの方法が適切か、しっかり検討する必要があります。

 

1つ目の方法は、現物分割です。

現物分割は、土地や建物をそのまま相続人に対して分け与える方法です。

複数の不動産を所有していれば、相続人同士の話し合いでどの不動産を相続するか決めることも可能ですが、一つの不動産しかない場合にはその不動産そのものを分割します。

つまり、相続する土地が広くて物理的に分割できるようなら、境界線を確定して、分割したそれぞれの土地を個々の相続人の所有とします。

個々の所有となった後は、自由に利用、また処分ができるようになります。

そもそも分割できるほどの不動産を所有していなければ、採用できない方法です。

 

2つ目の方法は、換価分割です。

換価分割は、不動産売って換金してから、相続人たちで分ける方法です。

現金であれば分けやすいので、一番ポピュラーともいえる方法ですが、相続する不動産によってはなかなか売れなかったり、売れるまでに時間がかかったりすることがデメリットになります。

また、先祖代々受け継がれた実家を売却するのは嫌だという方がいらっしゃれば、採用できない方法になります。

 

3つ目の方法は、代償分割です。

代償分割は、相続人のうち誰かが不動産を相続する代わりに、他の相続人へ不足分を支払う方法です。

換価分割のデメリットである、先祖代々受け継がれた実家を売却したくない場合などは、その方が実家を相続する代わりに、他の相続人へお金を支払うことで解決が可能です。

ただし、不動産の相続人に、支払えるお金の資力がなければ採用できない方法であることは、いうまでもありません。

 

4つ目の方法は、共有分割です。

 

共有分割は、相続人全員で不動産を共有不動産として扱う方法ですが、後ほど紛争につながる可能性が高いため、あくまでも最後の手段として利用される方法です。

たとえば、新道様の例であれば、ご本人と弟、妹のそれぞれが3分の1の権利を持つ不動産として相続することになります。

共有不動産になってしまうと、全員の承諾を得なければ不動産の売却ができない(持ち分の売却は可)など、さまざまな制約があるためおすすめできません。

そして、相続人同士が仲が良ければそれでいいというわけでもなく、相続人が死亡すれば、その配偶者や子どもが相続をすることになり、権利関係がグチャグチャになることもデメリットになります。

 

ちなみに、新藤様については、換価分割の方法を取り、ご実家を売却した上で分割する方法を決断されたようです。

たしかに、自身の思い出もある実家を簡単に手放すことには葛藤もあったようです。

しかし、2015年5月26日に施行された「空家等対策特別措置法」が、新藤様たちの背中を押す要素になりました。

「空家等対策特別措置法」は、倒壊などの恐れのある空き家を減らして、所有者に対して適切な管理を求める法律ですが、この法律によって一定の要件を満たした空き家は、特定空き家として認定されることになります。

もし特定空き家に認定されると、建物が建っている土地へ固定資産税の優遇措置が撤廃されることになるため、固定資産税が6倍になるケースも考えられます。

管理もままならない遠方の実家をそのまま残しておくことがリスクにつながる可能性を考えて、新藤様は実家の売却を決定したようですね。

 

地方の空き家問題は少子高齢化社会でますます深刻になっていきますが、遺産として不動産がある場合には、その遺産が空き家として相続人の負担になる可能性も考え、生前に処分するなり、相続方法を検討しておきたいものですね。

 

今日はこのあたりにしておきましょう。