遺産の宅地にセットバックの可能性あり!相続税評価額はどう変わる?

こんにちは!

こうのとりです。

 

在宅ワークが多くなると、家の汚れについつい目がいきます。

そこで、カーペットの掃除にと、重曹をまいてみました!

しかし・・・掃除機で重曹を吸い取ったところ、大変!

安物のハンディ掃除機だったせいか、フィルターで重曹がろ過されず、掃除機の排気口から重曹が勢いよく飛び出す始末!

家の中が、バルサンを焚いた後のようになってしまいました・・・まぁ、無害なのでいいですけどね^^;

 

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  【ベーキングパウダーにも変化する重曹ってすごいですよね】

 

さて、今回ご紹介する案件のお客様は金井様(仮称:48才)です。

金井様は、遺産分割協議に際して、ご実家の宅地の相続税評価額を算出することになったのですが、宅地にセットバックの可能性があるという指摘が親族からあったとのことで、評価額の算出方法について相談にいらっしゃいました。

 

そもそもセットバックとは、建築基準法第42条の第2項に規定されている道路に面している宅地のうち、将来その道路を4m幅に広げる可能性を見越して、宅地を中央線より2mの範囲で後退させた部分のことを指します。この部分には建築物はもとより、門や堀なども建てることはできません。

なぜ、セットバックが個人の資産である宅地に設けられることになったかといえば、建築基準法第43条にある「建築物の敷地は、建築基準法上の道路に2m以上の長さで接していなければならない」という接道義務(火災などの災害時の消火活動、救命活動などに備えることを目的)があるからです。

そして、この建築基準法上の道路については、原則として幅が4m以上あることが必要とされています。しかしながら、日本には幅が4m未満の道が多く存在しているため、宅地が接道義務を果たすことができません。

そこで、この救済措置として、建築基準法第42条の第2項にて、いわゆる「みなし道路」が設けられたというわけです。このみなし道路は2項道路と呼ばれています。

 

さて、相続税評価の話に戻しますと、2項道路に接している宅地のうち、セットバック部分は家や建造物を建てらず、利用することができないのですから、所有者にとって価値の無い土地であるといっても過言ではありません。

一方で、接道義務が定められたのは1950年であるため、それ以前に建てられた古家に関しては2項道路に接していてもセットバックをせずに宅地利用されている場合もあるわけです(このような宅地に再建築をする場合に、セットバックが求められることになります)。

これらの状況から、セットバックを必要とする宅地の相続税評価額については7割を控除し、価値率を3割とすることで計算されます。

 

具体的な計算方法としては、(1)宅地全体の評価額を計算し、算出された評価額に対して、(2)セットバック部分の割合から、セットバック部分の評価額を算出します。そして、(3)宅地全体の評価額からセットバック部分の評価額の7割を差し引きすることで、最終的な評価額とします。

たとえば、敷地全体が200㎡(1㎡を100,000円とする)、セットバック部分が20㎡の宅地について考えてみましょう。

(1)宅地全体の評価額は20,000,000円です。

(2)セットバック部分は全体の10%なので、セットバック部分の評価額は2,000,000円です。

(3)20,000,000円-(2,000,000円×70%)=18,600,000円がこの宅地の相続税評価額となります。

 

ちなみに、自身が所有している宅地の一部が私道として利用されている場合にも、評価額の控除がなされています。

具体的には、通り抜けができる私道については100%の控除行き止まりがある私道の場合にはセットバックと同じく7割を控除し、価値率を3割として計算されます。

 

さて、相続税とは関係ありませんが、セットバックをした部分に関しては、固定資産税・都市計画税が非課税です。ただし、非課税とされるためには申告が必要です。

そもそも宅地については特例で固定資産税が6分の1に減額されていますし、セットバック部分も宅地全体の数パーセントであるため、あまり節税の効果が無い可能性もありますが、頭の片隅に入れておくべきでしょう。

 

金井様は、今回のご相談でセットバックについてもクリアになり、遺産分割協議が進むと喜ばれておりました。肉親であっても骨肉の争いになる可能性がある遺産分割については、できるだけスムーズに行いたいものですね。

 

本日はここまでといたしましょう。