こんにちは!
こうのとりです。
コロナウィルスで人との交流が分断されていることは間違いないですね。
以前は通勤時にアタッシュケースを持っていた観光客の方が多かったのですが、今では全く見かけず、通勤が快適です。
しかし、インバウンドに力を入れて観光立国を目指していた日本としては、これではいけないんだろうなぁと感じています。
感染リスクは抑えなきゃいけません。難しい綱引きが始まっています。
【コロナ前の夜の雷門です。観光地も見かけるのは日本の方のみです】
さて、今回ご紹介する案件のお客様は佐野様(仮称:38才)です。
佐野様は、この度、遺産分割協議に参加することになりましたが、相続財産の中に記載のあった借地権について、正しい扱いを受けているかお知りになりたいと、ご来社されました。
借地権は「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」と借地借家法に規定されています。つまり、マイホームなどを建てる場合に、土地を買わずに、地代を支払って地主から土地を借りる場合の権利が借地権です。
しかし、なぜ土地を購入せずに借りるのでしょう?
もちろん、借りている土地ですから、地代を支払う必要があったり、建物の増改築や売却には地主の承諾が必要だったりと、一定の負担は必要ですし、将来的に返却しなければならない資産です。
つまり、返却しなければならない土地ですから、買うよりも当然費用は安く済むことになります。また、土地を所有するわけではないので固定資産税の負担もゼロとなり、金額面で総じてお得なのです。
さて、今回のお客様である佐野様については、資産として借地権が存在していました。実は、ご実家は借地に建てられたマイホームだったのです。
この場合、ただ土地を借りているだけの権利である借地権は、財産にみなされることになります。なぜなら、借地権については契約期間も長く、正当な理由がなければ更新を拒むこともできないため、総じて借地人が強い権利を持つことになるからです。特に借地借家法が施行された平成4年8月1日以前の「旧法借地権」については、地主と借地人のどちらが所有者かわからなくなるほど、強い権利でした。
よって、土地の所有権は、借地権を設定していることで不完全なものとなります。考え方としては、借地人のもつ借地権と、地主の持つ名義としての権利(底地権)を合わせて、はじめて土地の所有権として存在できるようになるのです。
では、それだけ強い権利である借地権の価値は、どのように考えられるのでしょうか。遺産分割協議や相続税の算出のためには、借地権の評価をしたうえでその価値を決めなければならないのです。
そこで利用されるのが借地権割合というものです。
借地権割合は、国税庁の路線価図・評価倍率表を参照しますが、固定資産税路線価ではなく、相続税路線価にて借地権割合を調べることができます。インターネット上でも検索可能です。
具体的な借地権割合の記述については、路線価と並んでそれぞれの土地にアルファベット表記されており、アルファベットごとに借地権割合が決められています(Aは90%、Bは80%~Gは30%など)。
なお、借地権割合については、土地の価格が高い地域ほど高く設定される性質のものです。これはもちろん、先に述べた借地権の権利としての強さと、地価の高い土地を使用できるという意味とが相まって、高く設定されるものと考えれば良いでしょう。
さて、借地権割合が判明すれば、その土地の路線価と合わせて、借地権の資産価値を算出することができるようになります。
たとえば、路線価が3,000万円で借地権割合が70%だとすれば、借地権の価値は「3,000万円×70%=2,100万円」と算出されます。
今回ご相談にいらっしゃった佐野様の場合、借地権として1,200万円の記載があったということでしたが、実際にインターネット上で調べた結果、相違はなかったということです。借地権の性質も理解され、安心できたようですね。
それにしても、借地権はあくまでも土地を借りているというだけの権利であるのにも関わらず、ここまで強い権利であること、そして財産としてもしっかり評価されることには驚きですよね。
本日は、ここまでといたしましょう。