こんにちは!
こうのとりです。
東京のコロナウィルス感染者が急増し、全国の1日の感染者もとうとう1,000人超えをするなか、ニューノーマルな生活への対応の難しさが浮き彫りになっていますね。
若い人ほど重篤化する可能性がないという情報が先行してしまっているので、若い人たちがコロナに対しての危機意識を削ぐ結果となっている気がします。
少なくとも人を感染させるリスクを考えて行動してほしいものですが、人の善意を拠り所にする方法はあまりにも短絡的で、せめて検査が手軽に、かつ強制的に行えるようになってほしいなと思うばかりです。
【実家近くの駅は超ローカル線です。今年は規制も憚られますね】
さて、今回ご紹介する案件のお客様は内村様(仮称:65才)です。
内村様はご自身のお子様たちが遺産相続で紛争とならないようにするために、遺言書をしたためておられましたが、遺言書より確実に遺産を相続すべく、生前贈与について検討をされるようになったそうです。
ただし、遺産相続であれば基礎控除額が大きいため税金の心配は無かったものの、生前贈与については税金がどのように課されるのか、また損をすることが無いかなど不安も多いにあるとのことで、今回ご相談に参られました。
たしかに、遺産相続に課される相続税の基礎控除については、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」となっており、ほとんどの方がこの基礎控除の範囲内に収まることから、税金の心配はいりません。
一方、生前贈与については、相続税ではなく贈与税が科されることになるため、贈与税の基礎控除を理解しておかなければ課税対象となり、単純に損をすることになってしまうのです。
そして、贈与税の基礎控除はたったの110万円(暦年贈与の場合、1年間の基礎控除額)ですから、基礎控除を比べるだけでも、圧倒的に遺産相続のほうが遺産を多く残せることになります。
しかし、生前贈与にはいくつかの特例があるため、これらの特例を有効活用することで、一定の遺産を損なく生前贈与することが可能となっています。この特例を利用して生前贈与をし、残った遺産については通常通り遺産相続をしてもらえば、遺産の金額も抑えられ紛争のリスクも抑えられるというわけです。
では、実際にどのような特例があるかですが、まず不動産の贈与として効果が高いのが、配偶者控除の特例です。
この特例は、婚姻期間20年以上の夫婦間において居住用不動産を贈与する場合に、2,000万円まで非課税となるもので、主に夫婦で居住していた実家などが、遺産相続の対象とならないようにするため、定められた特例です。
続いて、教育資金の贈与非課税の特例も利用価値があります。
父母や祖父母などの直系尊属から、教育資金として一括贈与を受ける場合に1,500万円までが非課税となるため、お孫さんに対して学費を出してあげたいという場合などには特に有効に機能します。
注意すべきは、平成25年4月1日から令和3年3月31日までという期限が決められていることと、受贈者は30歳未満の方に限るということ、専用口座が必要となることです。
さらに、 結婚・子育て資金の贈与非課税の特例も活用したいところです。
こちらは、父母や祖父母などの直系尊属から、結婚・子育て資金として一括贈与を受ける場合に1,000万円までが非課税となるため、大いに活用可能な特例です。
こちらも、平成25年4月1日から令和3年3月31日までという期限が決められており、受贈者は20歳以上50歳未満の方と決められていること、専用口座が必要となることには注意が必要です。
加えて、住宅取得等資金の贈与非課税の特例も活用すべきでしょう。
父母や祖父母などの直系尊属から、住宅取得等資金として一括贈与を受ける場合に最大3,000万円までが非課税となる特例もあります。
同じく、平成27年1月1日から令和3年12月31日までという期限が決められており、省エネ等住宅か否か、また、契約の締結日によって非課税限度額が大きく異なるため、十分な注意が必要です。
これらの特例は、少子化や受贈者の高齢化など、様々な社会問題の対策として講じられているものでもありますので、幅広くこれらの特例措置を利用していただくことにより、生前贈与を促すものとなります。
ご相談者の内村様は今回のお話をご理解され、奥様に不動産の生前贈与と、お孫さんに教育資金の生前贈与をすることになさったそうです。
残った金額は取るに足らないため、お子様たちで争うことはないだろうと安心されておりました。
本日は、ここまでといたしましょう。