こんにちは!
こうのとりです。
コロナウィルスの動静に一喜一憂することはなくなりましたが、やはり今年のお盆は帰省せず、家でおとなしく過ごすことにしました。
都会の喧騒を離れて、田んぼの多い田舎に帰るのは年に数回の楽しみだったのですが、今回は止むを得ません。万が一自分が無症状で、大切な人たちにウィルスを感染させてしまっては、後悔してもしきれませんので。
年末には帰れるといいな~と思っています。
【暑い日についつい食べたくなるのがこのサクレ、レモン味以外もあるんですね!】
さて、今回ご紹介する案件のお客様は篠原様(仮称:52才)です。
篠原様のお父様が先日急逝されたとのことで、今後の遺産相続に関して長男である篠原様が遺産相続手続きの全てを一任されており、どのような手順で進めれば良いのかわからないということで相談に参られました。
相続税の申告については、①被相続人の戸籍情報を手にいれつつ、相続人となりうる人たちをリストアップすることから始まります。
次に、②遺産についてのリストをつくり、そのリスト次第で相続放棄や限定承認を決めることになるのですが、相続放棄や限定承認の期限は被相続人の死亡を知った日の翌日から3ヶ月以内とタイトです。
そして、③遺言書が無い場合には遺産分割協議に入りますが、原則は法定相続人全員で協議をしなければならないため、皆のスケジュールを合わせて集まるのがひと手間です。
しかしながら、④相続税の申告については被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内と決まっており、相続人共同で提出しなければならないため、この申告の前には遺産分割協議を終える必要があるのです。
もちろん、遺産が相続税の基礎控除額以内「3,000万円+(法定相続人の人数×600万円)」に収まっていれば相続税の申告は不要なのですが、相続放棄や限定承認の期限は被相続人が亡くなってから3ヶ月以内であるため、遺産が基礎控除額内であっても、一定の手続きは進めておかなければならないのです。
さて、今回は主に相続税が課税される場合の手順についてご説明していきます。
全般の流れについては国税庁のホームページからダウンロードできる「相続税の申告のしかた」を読み進めるとよいでしょう。
ただし、この冊子も文章が多く、読むだけでも苦労しますので、心してかかってくださいね(笑)
まず、相続税の申告書と申告に必要な書類を準備します。
申告書については、最寄りの税務署か国税庁のホームページでもダウンロード可能ですが、基本的には手書きです(専用の申告ソフトなどがあれば別)。
申告に必要な書類は相続財産の種類が多ければ多いほど多岐に渡りますが、こちらも国税庁のホームページでダウンロード可能な「相続税の申告のためのチェックシート」を確認しながら行うと良いでしょう。
以下、チェックシートに記載があり、必要とされる書類です。
1、相続財産の分割について
遺言書があれば遺言書の写し
未成年がいれば特別代理人の審判の証明書
戸籍謄本
遺産分割協議書の写し および 各相続人の印鑑証明書
2、相続財産について
不動産に関する書類
事業用(農業用)財産に関する書類
有価証券に関する書類
現金・預貯金に関する書類
生命保険金・退職手当金等に関する書類
立木に関する書類
その他財産に関する書類
3、債務・葬式費用について
債務に関する書類
葬式費用に関する書類
4、生前贈与について
相続時精算課税および暦年課税についての書類
5、財産評価について
不動産評価に関する書類
非上場株式に関する書類
上場株式に関する書類
立木に関する書類
6、特例について
小規模宅地等の特例を受ける場合の書類
特定計画山林についての書類
農地等の納税猶予についての書類
このように、相続税の申告には多くの書類が必要となる上、相続税の申告書は第1表から第15表まで、様々な様式で構成されているため、記載する順番についても重要です。
以下の順番で記載していくと良いでしょう。
① 第9表(生命保険金など)
② 第10表(退職手当金など)
③ 第11表 および 第11の2表の付表1~4(小規模宅地の特例など)
④ 第11表(課税財産)
⑤ 第13表(債務・葬式費用等)
⑥ 第14表(相続開始前3年以内の贈与財産等)
⑦ 第15表(相続財産の種類別価額表
⑧ 第1表(課税価格、相続税額)
⑨ 第2表(相続税の総額)
⑩ 第4表(相続税額の加算金額の計算書)
⑪ 第4表の2(暦年課税分の贈与税額控除額の計算書)
⑫ 第5表(配偶者の税額軽減)
⑬ 第6表(未成年控除・障碍者控除)
⑭ 第7表(相次相続控除)
⑮ 第8表(外国税額控除)
以上のように、相続税の申告については、時間をかけながら個人で行うことも可能ですが、期限が決められていることもあり、我々税理士事務所のような専門家に依頼をしたほうが良い場合もあります。
専門家に依頼したほうがよい例としては、遺産総額が多額(1億円を超える)な場合、遺産に不動産が多く含まれる場合、特例や税額軽減を利用したい場合、などは任せてしまったほうがよいと感じます。
本日は、ここまでといたしましょう。