相続税対策はできるのか!?小規模宅地の特例

こんにちは!

こうのとりです。

 

来年の東京オリンピック、一体どうなるんでしょうね?

コロナウィルスを乗り越えた結果としての開催であれば、過去最大級に盛り上がるでしょうけど、縮小のまま開催するなら、むしろ再延期のほうがいいんじゃないかなと思ったりします。

高校野球もそうだったけど、なんといっても人生をかけているアスリートの方々の努力が報われない現状には、ほとほと嫌気がさしますね・・・。

 

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 【以前は北海道出張が多かったのですが、今では全てWEB会議です】

 

さて、今回ご紹介する案件のお客様は南條様(仮称:62才)です。

南條様はご子様たちへの遺産相続に先立ち、相続税対策として、所有している土地を有効活用できないか、ご相談に参られました。

相続税については、平成25年度の税制改正を受けて、基礎控除額が大幅に減額されました。具体的には、それまで「5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)」だったものが、平成27年1月1日以降より「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」へと変更になっています。

相続税は元々基礎控除が大きいですから、ほとんどの方が非課税とされてきたものですが、今回の改正で最低でも2,400万円もの大幅な減額となったことで、南條様はもしかすると相続税の課税対象になるかもしれず、今のうちから対策をしておきたいとのことでした。

 

さて、相続税対策として土地の相続を考えた時に有効活用したいのが小規模宅地の特例です。これは、適用された場合に、相続税を計算する際に用いられる土地の相続税評価額が最大80%も減額されるという強力な節税方法です。

しかしながら、適用されるためにはいくつかの条件がある上、本来の目的は事業承継や、配偶者が継続して居住できるような配慮であるため、相続税対策としての駆け込み要素は排除されていることにも注意しなければなりません。

まず、対象となるのは、相続前から被相続人と生活を共にしていた(もしくは生計を一にしていた)親族であることです。

そして、評価額減額の対象は、住宅の敷地である宅地(特定居住用宅地等)、事業に用いられている建築物がある宅地(特定事業用宅地等)、アパートや駐車場など不動産貸付業に使用されている宅地(貸付事業用宅地等)の3種類に大分され、それぞれに減額割合と対象とされる上限面積が決められています。

 

1、特定居住用宅地等

主に被相続人の配偶者が継続して居住できるようにするたできるようにするための要件ですが、必ずしも同居が必須というわけではありません。また、条件によっては別居の親族でも特例が受けられる場合もあります(家なき子特例)。

減額割合は80%で、上限面積は330㎡までです。

 

2、特定事業用宅地等

被相続人が行っていた事業を継続して行うことができるようにするための要件です。会社というよりは、八百屋や書店などの店舗をイメージするとよいでしょう。相続税節税を目的とした駆け込み的需要の対策として、相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等は、除外される法改正が近年ありました(例外あり)。また、相続人が相続税の申告期限まで事業を継続している必要もあります。

減額割合は80%で、上限面積は400㎡までです。

 

3、貸付事業用宅地等

被相続人が賃貸アパートや駐車場などの不動産貸付業に使っていた土地を相続する場合の要件です。相続税対策として賃貸アパートや駐車場を設置する行為が乱用されたため、「相当の対価」で貸付が行われているか、駐車場についてはその形態が「構築物の敷地」といえるかどうかなど、対象となるかどうかの判断基準が若干複雑です。また、こちらも相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等の除外対象となっています。

減額割合は50%で、上限面積は200㎡までです。

 

南條様はこれらの特例の活用を見据えながら、まずは本当に相続税が課税されるのかどうか、遺産の整理から行うことにされたようです。

相続税が課税される可能性がある遺産相続に関しては、様々な特例を計画的に利用しつつ、生前贈与や遺産分割の方法、遺書の作成なども含め、包括的な目線で行うべきです。法改正も度々行われますので、我々のような専門家に事前相談しながら、確実に進めていただければと思います。

 

本日は、ここまでといたしましょう。