まさか過去に受けとった財産の返還を求められるとは!特別受益について

 

 こんにちは!

こうのとりです。

 

アメリカの大統領選挙はこのままバイデン候補の勝利に終わりそうですね。

トランプさんはパリ協定やWHO(1年後)から脱退し、

「世界のアメリカ」となることをやめた大統領です。

 

自国民に利益にならないことはしない!と損得勘定を徹底したところは

いかにもビジネスマンであり、あれだけの支持を集めたことも頷けますが、

ここまで接戦になったということが、アメリカの分断を象徴している気がしますね。

コロナの問題も含め、この先アメリカはどうなっていくのでしょうか。

 

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【いなかに帰って緑を見ると安らぎます。でも、今年の年末は帰っていいのかな・・・】

 

さて、今回ご紹介する案件のお客様は坂東様(仮称:34才)です。

 

坂東さまは先日、大好きだった祖母を亡くされましたが、悲しみに明け暮れる暇もなく、坂東さまの叔母様にあたる親族に、過去に祖母から譲り受けた財産を返してほしいと求められたということで、どうしたらいいのかと相談にいらっしゃいました。

孫に対して財産の返却を求めることなどありえないと思われるかもしれませんが、坂東さまのケースは特別受益に抵触する可能性があることあるため、問題になったといえるでしょう。

 

この特別受益とは、生前に被相続人が相続人に対して特別に贈与をしていた場合などに取り上げられる問題です。つまり、遺産相続について、遺書などが無ければ法定相続分通りに配分されるべきですが、特定の相続人が生前贈与を受けていたとすれば、生前贈与を受けることができなかった他の相続人は不利益を被ることになります。

たとえば、被相続人にに子どもが2名いたとして、車を買うための費用を兄に対して500万円ほど工面してあげたとします。その後、被相続人が亡くなり、遺産分割となった場合に、工面した500万円を除外したまま遺産を計算すれば、兄以外の相続人が不利益を被るというわけです。

 

このような不平等を無くすために、考えられたのが特別受益ですが、まず大前提として、特別受益者の対象となるのは、特別受益を受けた共同相続人に限ります。

つまり、相続人でなければ特別受益者には該当しないため、孫にあたる坂東様は本来、法定相続人では無いために特別受益者から除外されるはずでした。

しかし、坂東様は最近ご両親を亡くされていたこともあり、ご両親の相続権をそのまま受け継ぐことになっていたため、特別受益者に該当する可能性があったのです。

 

しかしながら、ここには1つ坂東様が特別受益を得たことにならない理由が見逃されていました。

実は坂東様が留学の費用を工面してもらったのは、坂東様のご両親が亡くなった後だったのです。

つまり、相続人が相続人の地位になる前に受け取った財産に関しては、特別受益としては認められないのです。

 

さて、特別受益に関しては、民法第903条に明文化されています。

「共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻、養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるとき」について、「被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなす」とされており、「算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする」との記載があります。

 

この条文から読み解くと、特別受益の範囲については、

1 遺贈(遺言で財産を受け継ぐ場合)

2 婚姻のための生前贈与

3 養子縁組のための生前贈与

4 生計の資本としての生前贈与

の4つに限定されます。

 

それぞれの細かい解説は省きますが、特別受益の観点は、遺産の前渡しによる不公平を無くすというものです。

そのため、妥当と思われる範囲内の援助については特別受益には当たらないとされています。

 

また、近年(2019年7月1日)の法改正で

1、遺留分の基礎財産に含める贈与については期間制限がなかったものが、相続開始前の10年間に限定される

2、結婚から20年以上が経つ配偶者に対する自宅の生前贈与については、特別受益の持戻し免除が推定される

など、特別受益の対象を限定する改正があったことについても念頭におくべきといえるでしょう。

 

ちなみに、特別受益とは話が逸れますが、祖父母からの留学費については「教育資金贈与」とされて、1,500万円までは非課税対象となります。

学費を受ける方の年齢は原則30歳まで(場合によって40歳まで)と、期間が長いこともありますので、ぜひとも、この非課税枠については有効に利用していただきたいと思います。

 

坂東様は叔母に今回のことを説明したそうです。

叔母様もムキになってごめんなさいと、謝られていたそうですよ。

本日は、ここまでといたしましょう。