相続税が支払えないときに使う延納制度の利用条件・必要書類(前半)

こんにちは!

こうのとりです。

今日は相続税についての記事です。

 

相続税は被相続人の死によって唐突に課税され、基本的には現金一括納付になります。
そのため相続人の中には「現金の準備がなく相続税を課税されても急に払えない」というケースがあるのです。

人の死は唐突です。
事前に確実に予見することはできません。
だからこそ資金準備が難しいのが相続税なのです。

突発的に課税されるなどの相続税の事情を考慮して相続税には「延納」という制度が定められています。
この記事では延納の条件や相続税延納の申請に必要な書類、相続税延納申請書の記載例など、相続税延納の手続きに必要な知識をご紹介します。

少し長くなりますので、2回にわたって解説していきます。

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相続税を延納するための条件

相続税の延納とは相続税を分割払いする制度です
相続税は現金一括払いが基本ですが、相続人の生活状況や相続税の額によっては一括で相続税を払うことが難しいことでしょう。
さらに相続は被相続人の突発的な死によりはじまるという事情もあります。
被相続人の死後に遺産ごとに相続税評価(価値の評価)をしてみないと正確な税額をなかなか算定できないため、資金準備の難しさに拍車をかけているのです。
そのため、相続税には分割払いでの相続税納付を許可する「延納」という制度が定められています。

相続税分割払いという内容から買い物の分割払いを想像するかもしれません。
相続税の分割払いは確かに相続税を分割で支払う方法になりますが、買い物の分割払いのような柔軟さはありません。
分割払いできるといってもあくまで基本は現金一括払いですので、相続人が分割払いしたいからといって簡単にできるものではありません。
相続税のルールで定められた条件に当てはまっていないと延納の利用は許されないのです。

相続税の延納を使うためには以下の利用条件に当てはまっていなければいけません

 

1.相続税額が10万円を超えている

延納を利用するためには相続税額(贈与税額)が10万円を超えていなければいけません
相続税額が低い場合は使えないということです。
相続税額が低い場合は一括で払える可能性が高いからです。

たとえば相続人が姉と妹のふたりだったとします。
姉の相続税額は20万円で、妹の相続税額は5万円でした。
このような場合は、姉は相続税の延納を使えますが妹は使えません。

 

2.相続税の現金納付が困難である

クレジットカードの分割払いは現金払いが困難かどうかは関係ありません。
使いたいときに使えます。
しかし相続税の分割払いは現金払いが困難であるという条件に当てはまっていなければ利用できません。

現金払いが困難かどうかは遺産に加えて相続人の資産もチェックされます。
たとえば相続財産で払うことが困難でも相続人の資産で払うことができるなら、それは現金払いできるということです。
相続人の資産をもってしても現金払いが難しいケースしか使えません

なお、相続人の資産で払えるかどうかを判断されるときは生活費などについては考慮されます。
給与と預金すべてを相続税の支払いに充てろということではないので安心してください。

 

3.相続税延納申請書などを期限までに提出する

相続税の延納を利用するためには相続税の申告期限まで相続税延納申請書や担保関係書類といった必要書類を提出しなければいけません

相続税の申告期限は10カ月です。

 

4.相続税延納の担保を提供する

相続税の延納を使うためには担保を提供しなければいけません。
延納によっても相続税を払えないときのための保険が延納の担保です。
相続税延納の担保については別の見出しで説明します。

 

相続税延納は利息が発生する

クレジットカードなどで分割払いをすると、分割の回数にもよりますが所定の手数料がかかります。
相続税の延納も似ていて、延納をすると相続税の他に利息が発生する仕組みになっているのです。
もちろん買い物の分割払いと相続税の延納は性質自体が異なりますが、延納の利息については分割払い手数料のようなものだと捉えれば比較的理解しやすいかもしれません。

相続税延納の年利は1.2%~6.0%ほどです。
相続税の延納の利息は延納の期間と相続財産に占める不動産の割合などによって変わってきます。

 

相続税の延納に利用できる担保

相続税の延納では相続税を支払えないときの保険として担保を提供する必要があります。
延納によっても相続税を払えない場合は担保から回収されるわけです。

担保はいざというときに相続税を回収するための保険ですから、どのような財産でも認められるわけではありません。
延納の担保として使える財産が定められている他、担保に提供する財産についての条件もあるのです。

 

相続税の延納で担保にできる財産

相続税の延納では以下のような財産を担保にできます。

 

・国債や地方債、社債
・不動産(土地や建物)
・船舶や飛行機、自動車、建設機械
・各種の財団
・税務署長などが認める保証人

など

以上のような財産が相続税延納の担保になります。
担保にできる財産の共通点は「価格変動が少なく簡単に処分できる財産である」ことです。

ただ、上記のような財産であれば何でも担保にできるわけではないため注意が必要になります。
担保にするためには担保の条件を満たす必要があるのです。

 

相続税延納の担保の条件

相続税延納の担保にする財産には3つの条件があります。
条件を満たしていない財産は担保として認められません。

 

(1)担保の換金が容易である

担保にしても換金できなければいざというときに相続税延納分の回収ができません。
相続税延納の担保にするためには換金が容易な財産でなければいけません。
担保として提供された財産の換金に時間がかかると税務署は速やかに相続税を回収できないことになります。
いざというときにスムーズに相続税延納分を回収できるかがチェックポイントになるわけです。

 

(2)土地に抵当権の設定が可能

相続税延納で土地を担保にした場合は土地に抵当権を設定します。
ただ、抵当権の設定ができても他に抵当権者がいて後順位になってしまう場合は担保にできないのです。

 

(3)延納金額と同程度の価値がある

担保にする財産は相続税延納の金額と同程度の価値を持っていなければいけません。
相続税延納の金額が1,000万円なのに担保の価値が100万円ほどだと価値が釣り合わないのです。
いざというときに相続税延納分を回収できません。税額に釣り合った財産でなければ担保として認められません。
なお、財産を担保にした後に価値が低下したような場合は追加の担保を求められることがあります。

 

相続税の延納で担保にできない財産

相続税の延納で担保にできる財産であっても、以下のような財産は担保不適格として相続税延納の担保には使えません

 

・処分禁止の財産
・所有権争いがあるなど係争中の財産
・第三者などの同意や許可が必要なケースで同意や許可が得られない財産
・売却できる見込みのない財産
・存続期間が延納の期間より短い財産

など

共通点としては「相続税延納分の回収が困難な財産」です。

 

相続税を延納するための条件について解説してきました。


本日は、ここまでといたしましょう。