こんにちは!
こうのとりです。
今日は前回の続きで相続税延納申請書についての記事になります。
相続税が支払えないときに使う延納制度にはどのような書類が必要になるのでしょうか。
相続税の延納申請に必要な書類
相続税延納申請では相続税延納申請書などの提出をしなければいけません。
相続税延納手続きの必要書類は以下の通りです。
・相続税延納申請書
・金銭納付を困難とする理由書
・不動産等の財産の明細書
など
相続税延納申請書や理由書、財産の明細書などは相続税延納を申請するすべての人が提出しなければいけません。
相続税延納申請書は相続税延納の申し込みのための書類で、理由書は相続税をなぜ延納しなければならないのかを税務署に説明するための書類です。
相続税は現金一括納付が基本であり、相続財産や相続人の私財で支払いが困難なときに認められる支払い方法になります。
支払いが困難でなければ延納を認める必要はありません。
税務署側に延納の理由を説明しなければいけないのです。
相続税延納申請書などの他に、担保として提供する財産にまつわる書類が必要になります。
財産にまつわる書類は、どのような財産を担保にするかによって変わってくるため注意が必要です。
たとえば土地を担保にする場合は土地の担保目録及び担保提供書などの他に登記事項証明書や固定資産税評価証明書などが必要になります。
担保にする財産に合わせて、税理士や税務署へ必要書類の確認を取ることをおすすめします。
なお、担保にする財産関係の書類準備に時間がかかるなどの理由から提出期限を延ばす場合は、担保提供関係書類提出期限延長届出書の提出も要するため注意してください。
記載が必要な相続税延納申請書などの記載例については次の見出しで詳しく説明します。
相続税延納申請書の記載例
相続税延納申請書はすべての相続税延納ケースで提出しなければならない書類です。
相続税延納申請のために必要な相続税延納申請書の記載例について説明します。
相続税延納申請書は国税庁のホームページでダウンロード可能です。
相続税延納申請書については、それぞれの欄で尋ねられていることに対して記載すれば特に問題ありません。
欄によっては尋ねられていることが他の提出書類(金銭納付を困難とする理由書など)と重なります。
記載事項が他の提出書類などと重なる場合も相続税延納申請書の方にあらためて記載する必要があるので注意してください。
相続税延納申請書の記載例についてもう少し詳しく説明します。
相続税延納申請書の記載例・記載すべき欄
相続税延納申請書で記載が必要になる主な欄は以下の通りです。
●相続税の延納申請税額
相続税延納申請書でまず記載するのは相続税の延納申請税額です。
相続税延納申請税額については延納分の金額そのものだけを記載するのではなく、相続税額や物納の額、現金で支払った額などを順番に記載して、最終的に相続税延納分を算出のうえで記載する仕組みになっています。
●金銭で納付することを困難とする理由
相続税を金銭で納付することを困難とする理由について記載します。
相続税延納申請では理由書も提出しますが、こちらの欄にもあらためて記載を要するのです。
金銭で一時に納付することが困難な金額(延納許可限度額)については理由書の方で計算します。
●不動産の割合
相続税の延納では遺産に占める不動産の割合が重要になります。
相続税に占める不動産の割合によって延納期間や延納の利子が変わってくるのです。
基本的に遺産に占める不動産の割合が多くなると、その分だけ延納期間を長く設定できます。
相続税延納利子も不動産の割合が多くなると低くなるのです。
税務署側は遺産にどれくらいの不動産があるか確認しなければいけないため、この欄で不動産について記載し、遺産に占める不動産割合を報告するかたちになります。
●延納申請税額の内訳・延納申請年数
延納申請税額の欄には、不動産の価額に応じた割合と計算式により相続財産の種類ごとの延納相続税額を計算します。
延納申請年数の欄には、希望する延納の期間を記載します。
●担保欄
相続税延納申請書の下の方にある「別紙不動産等の財産の明細書のとおり」の文言は、不動産などの価額の割合が75%未満である場合は消しておきます。
相続税延納額が100万円以下で、かつ、延納の年数が3年以下の場合は「別紙目録のとおり」の文字も消してください。
●分納税額、分納期限及び分納税額の計算の明細
分納する税額や支払いの期限について記載する欄です。
分納の支払い期限については納期限から1年以内の希望日を記載してください。
毎月の支払い日は同一日を記載します。
●相続税延納申請書のその他の記載欄
その他参考事項の欄ではそれぞれの欄で尋ねられている事項について記載します。
被相続人・遺贈者、相続発生・遺贈年月日などの欄があります。
●相続税延納申請書を提出した後の流れ
相続税延納申請書を提出してもすぐにその場で延納の可否がわかるわけではありません。
相続税延納申請書や理由書などすべての必要提出書類がそろっているか確認され、さらに相続税延納申請書などの記載欄に漏れがないか、延納申請の内容なども確認されます。
そのうえで税務署側が相続税延納を認めるかどうか判断するという流れです。
税務署側が提出必要書類の内容で相続税延納について許可するという判断の場合は「相続税延納許可通知書」が送られてきます。
相続税延納申請書などの提出書類を確認したうえで相続税延納を許可しないという判断を下した場合は「延納申請却下通知書」が届くという流れです。
税務署側が相続税の延納を認めたらそれで延納申請手続きは終了ではなく、さらに担保についての手続きを行わなくてはいけません。
たとえば不動産を相続税延納の担保として提供した場合は法務局で抵当権設定の登記をするという流れになるのです。
担保の提供についても手続きが終了したら、後は相続税分納の申請内容に沿って実際に分納を行います。
なお、相続税分納の担保に設定した不動産に火災保険などの契約がある場合は、火災保険の契約更新などの際にも税務署に連絡し質権設定などの手続きが必要になるため注意してください。
相続税延納申請書は記載内容が複雑です。
被相続人や相続人が延納を希望する額などを簡単に記載して申請すればいいわけではありません。
記載が必要な欄に遺産、中でも不動産関係の計算が絡む点に難しさがあります。
もちろん自分で計算してもかまいません。
ですが、計算ミスや記入ミスは相続税延納手続きの遅延にもつながります。
期限内に書類を準備して相続税延納申請書などに正しい情報や数字、計算結果を記入することは、相続税の専門的な知識がないと難しいことです。
相続税延納申請の手続きをスムーズかつミスなく行うためにも相続税の専門家に依頼してはいかがでしょう。
相続税延納の際は専門家に相談のうえで相続税延納申請書の作成などをサポートしてもらうことをおすすめします。
本日は、ここまでといたしましょう。