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こうのとりです!
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※ 画像はイメージです
2021年4月、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案」と「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が可決成立しました(4月28日公布)。
コロナウィルスや五輪に関するニュースに隠れて、あまり取り上げられてはいませんが、その内容を見てみると、少子高齢化や地方過疎化という社会問題に対峙するための抜本的な法改正および法成立となっており、絶対的な権利である所有権にもかなり踏み込んだ内容となっています。
法律の施行日は、公布後3年以内と決められていますので、2024年までには施行され、義務化が進むことになります。
そもそも、日本において土地の所有権が認められるようになったのは、1873年の地租改正時にさかのぼります。明治政府は私的所有権を認めたうえで、土地に対して租税を納めさせるという政策を取りました。
当時は「地券」というもので土地の所有権を証明していましたが、これが後の「登記制度」に変遷していきます。
一方、土地の私的所有権は1896年に民法で明文化されました。このときに参考としたのがドイツの民法なのですが「土地の所有権は絶対的、排他的」であるというその内容が引き継がれ、日本においても所有権が絶対的、排他的な権利として、今もなお続いていることになります。
この所有権の強さが仇となり、少子高齢化によって地方の空き家問題が深刻になっていても、所有者不明の土地だからといって、国や地方自治体さえも処分できずに放置せざるを得ないという状況だったのです。
さらに、相続登記が任意であるという制度上の問題も足かせとなっていました。例えば、地方の実家を相続した方が登記をしないまま都内で生活をしていたとして、万が一事故死や、高齢化して孤独死などをした場合はどうでしょうか。地方の実家はそのまま放置され、所有者不明のまま誰も手をつけることなく残ることになります。
もちろん、所有者がただ不明なだけであれば問題ありません。しかしながら、その場所に線路を敷きたい鉄道事業者がいたらどうでしょう?また、空き家が放置されて、その中で鳥獣被害や虫害が起きたらどうでしょう?立地にあった廃材が吹き飛ばされて通行人に直撃したらどうでしょう?
このように、所有者不明土地が引き起こす問題は何かと厄介なのですが、現時点で日本全体の面積の約2割程度がすでに所有者不明の土地として存在しています。
この、所有者不明土地問題を対処するために、長年指摘されていたものの実現がしなかった「相続登記の義務化」によって所有者不明問題の入口を塞ぐ予防的アプローチをとった上で、「所有者不明土地の利用円滑化」によって所有者不明土地であっても利活用ができように出口を広げる問題解決的アプローチが講じられることになったのです。
本日はここまでにしておきましょう。
次回より、各アプローチの具体的な方策について、より詳しく確認していきたいと思います。