忘れられた「ポツンと一軒家」状態の予防的アプローチ「相続登記の義務化」

こんにちは!

こうのとりです!

 

コロナ禍に対応すべく、withコロナ、afterコロナとして、デジタル化が促進されていますが、皆様の企業では進んでいますか?

テレワークが推進されれば、介護や地方の過疎化などの社会問題が解決するのになと感じているのは私だけでしょうか?

 

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※ 画像はイメージです

 

さて、今回から3回にわたって、少子高齢化の弊害として問題が顕在化しつつある所有者不明土地問題解消のための2つの具体的アプローチをまとめていきます。その2つのアプローチとは「予防的アプローチ」と「問題解決的アプローチ」ですが、今回は「予防的アプローチ」についてです。

 

所有者不明土地の予防的アプローチとして特筆すべきは、皆さんも直接関係する可能性が高い「相続登記の申請義務化」です。

コロナ禍の影に隠れて大きなニュースにはなっていませんが、国内では絶対的な権利とされている所有権に踏み込んだ内容である上、これから相続を控える方には相応なインパクトになるため、心構えをしておくべきでしょう。

なお、義務化は2024年以内とされており「土地や建物の相続を知った日から3年以内に登記するよう義務づけ」という内容になっています。

 

 

そもそも、相続登記も含まれる「所有権移転登記」は義務ではありません。登記は、あくまでも第三者に所有権を主張するための1つのツールであり、任意の行為です。

 しかしながら、不動産の売買契約時には「所有権移転登記」が合わせて行われるのがごく一般的です。これは、登記をしていないと、二重売買がなされた場合に所有権を主張できないケースや、将来的に売却する際に売ることができなくなるなどのリスクがある他、住宅ローンなどを組む場合には必須条件(金融機関は、不動産を担保に融資するため)とされていることがほとんどであるという理由です。

 

一方で、不動産の相続時も所有権が移転するものの、ほとんどが親から子、もしくは親族や身内への引継ぎであり、すでに居住している実家などの家屋を、そのまま占有し続けるケースが多かったために(20年占有による時効取得というルールがある)、第3者に対して所有権を主張する必要性がありませんでした。その上、登記には費用も手間もかかるということで敬遠されてきたといえます。

 

要するに、これまでのルールで特段問題はなかったのですが、少子高齢化という社会問題によってが問題が顕在化することになりました。たとえば、「兄弟のうち長男が実家を引き継ぐ」という古い慣習的な考え方も過去のものとなり、生活基盤が都心部にあれば容易に移住できないことや、地方の不動産を処分しても二束三文であること、あるいは、生家を残しておきたいという思いなどから、住人不在で空き家のまま、実家などを相続される方が増えてきたといえるのです。

しかし、仮にこのような状況の方が一人っ子で未婚、相続登記をしないまま突発的に亡くなられらどうなるでしょう?亡くなられた本人名義の財産は、選定された相続財産管財人のもとで国庫に帰属(つまり国の所有)となりますが、たとえば地方に残された実家が「ポツンと一軒家」状態であったとすれば、その家は誰かの名義で、誰かが所有しているのだろうという考えのもと、長らく放置されることになるのです。

 

本日はここまでといたしましょう。

長くなりましたので、話は次回へ持ち越します。