兄弟10人、この不動産は誰のもの?所有者不明土地の問題解決的アプローチ

こんにちは!

こうのとりです!

 

五輪が近づいてきましたが、折角の自国開催なのに今回は素直に楽しめそうにないですね・・・。どうせなら、お祭り騒ぎで応援したかったな~と、個人的には感じています。

 

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※写真はイメージです

 

さて、前回まで2回にわたって所有者不明土地問題解消に向けた予防的アプローチをご紹介してきましたが、今回は問題解決的アプローチについて、まとめておきたいと思います。

 

所有者不明の土地があったとしても、絶対的権利である所有権を侵害するほどの法改正は難しいことは間違いなく、問題解決的アプローチとしては、やや緩やかな内容となっています。

具体的には「共有物管理・共有物変更の手続合理化」「所有者不明土地管理制度 および 管理不全土地・建物管理制度」、そして「隣地関係の法整備」が挙げられます。

 

まず「共有物管理・共有物変更の手続合理化」ですが、これは現在でも問題として抱えている方々が多いケースへのアプローチになりそうです。

簡単に言えば「私たち兄弟は仲がよいし、実家は兄弟みんなで相続をして実家を管理しましょう!」とか、遺産分割協議などでしっかり話し合う時間がなく「とりあえずみんなの名義で相続しよう!」などという、いわゆる共有不動産が引き起こす問題の解決策です。

共有不動産という相続の方法は望ましくありません。かなりの確率で揉めることになりますし、その資産が子供に引き継がれ、さらにその子供に引き継がれと、代を重ねるうちに、1つの土地を大人数が共有することにもなりかねないのです。

共有不動産といえども、一人ひとりの持ち分は立派な所有権ですが、なるべく持ち分の状態を解消しやすいような緩和策を講じるとともに、不明共有者については公告や通知で反応が無ければ「頭数から除く」ことができるようにしました。

 

続いては「所有者不明土地管理制度 および 管理不全土地・建物管理制度」ですが、こちらは、利害関係人の請求によって、裁判所が認めれば所有者不明土地の管理人が選任され、土地の管理を命ずる処分をおこなえる制度(所有者不明土地管理制度)と、不動産の所有者が不明であるかどうかにかかわらず、管理が不適当であることで他人の権利や法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合に、同じく裁判所によって管理人が選任され、土地の管理を命ずる処分をおこなえる制度(管理不全土地・建物管理制度)です。

主たる目的は、危険な空き家問題に対する対応を柔軟にするものかなと感じます。つまり、空き家が老朽化し、倒壊しそうという場合などに、管理不全であるとして裁判所に管理を願い出ることができるということですね。老朽化した家屋は耐震性も弱くなっていることがあり、非常に危険なのです。

 

そして最後は「隣地関係の法整備」ですが、たとえば隣地に土地に大きな木が育っていて、その枝が自分の家の境界線を越えてどんどんと伸びてきた場合はどうすべきでしょうか?

実は、境界線を越えて伸びてきた枝を勝手に切ることができません。もちろん、お隣さんが住んでいれば「ちょっと〇〇さん、枝が伸びてきてますよ!」と言って切ってもらえばいいのですが、誰も住んでおらず、所有者も不明な隣地からの枝であった場合、誰にも依頼することができないことになります。そこで、所有者不明の土地である場合などには、隣地に立ち入って枝を切ってもいいでしょうという、緩和的な法改正になります。

 

少子高齢化によって、地方を中心に所有者不明土地問題はこれからもますます増えていくと考えられていましたが、所有権に踏み込むギリギリのラインで様々な緩和措置を講じ、少しでも所有者不明土地を減らそうという動きが今後加速してくことになると思います。

 

本日はここまでといたしましょう。