相続税の計算方法~控除の考え方

こんにちは!

こうのとりです。

今日が初めての記事更新になります!

改めてよろしくお願いします^^

※ 私がこのブログを作成するに至った背景・経緯はこのブログについてを参照くださいね!

 

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【お金の巡りが良いと言われる穴八幡宮の参拝は毎年の恒例行事です^^】

 

今回の記事は、相続税の基本中の基本、相続税の計算方法についてです。

そのためには、そもそもの税金の考え方を理解しなければいけませんが、税金計算には、控除と減税の違いを理解するところから始まります。

これを私たちとって身近である、消費税で考えてみましょう。

コンビニで100円のコーヒーを(税抜)買ったとして、コンビニでの買い物には消費税が課税されますね。

今ではイートインだと10%!(世知辛い世の中です・・・。)

さて、私は迷わず持ち帰りを選ぶので、消費税率8%だと考えれば、支払い金額は108円ですね。

 

ここで、それぞれの対象を見てみましょう。

控除の対象 ・・・ 100円コーヒー

減税の対象 ・・・ 消費税率8%

このようになりますが、もし仮に、我々小市民の税負担を軽減しようと政府が決めた場合には、控除をするか減税をするかによって、計算方法が異なるわけです。

 

控除のそもそもの意味は「ある金額から一定の金額を差し引くこと」ですから、この例でいえば、課税対象であるコーヒーの金額から、いくらか差し引きしようという考え方になります。

例えば、全てのコーヒーから20円控除しようという法律が決まったとすれば、

<支払額:100円+(100円-20円)×0.08=106.4円>

と計算できます。

 

この、課税対象である全ての金額から、一定の金額を指し引くことを、基礎控除というわけです。

 

一方、減税をする場合にはどのような計算になるでしょうか。

減税の場合は、税率を引き下げる意味になるので、全てのコーヒーにかかる消費税率を0.03%減税しようという法律が決まったとすれば、

<支払額:100円+100円×(0.08-0.03)=105円>

と計算できることになります。

 

さらに、課税対象からの基礎控除ではなく、算出された消費税額から控除しようとした場合、税額控除がなされることになります。

全てのコーヒーにかかる消費税額から5円控除しようという法律が決まったとすれば、

<支払額:100円+(100円×0.08-5円)=103円>

と計算できることになるわけです。 

 

このように、税制は控除や減税など、その対象によって様々な計算方法に変化することがお分かりいただけたかと思います。

  

 

さて、話を元に戻して、相続税における「基礎控除額」はいくらなのでしょう?

相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

ズバリ、これが基礎控除額となります。

つまり、相続税の課税対象となるものの総額が、上記の金額以内であれば、課税対象は0円となるため、相続税を支払う必要が無いのです。

遺産が1,000万もあるわけない!とか、あっても2,000万だなという方は相続税を申告する対象にありませんね。

 

次に、ここで出てくる「法定相続人」とは誰のことでしょうか。

これは、あくまでも法律で決められた相続人のことを指しますが、法定相続人となる可能性があるのは、配偶者、子、親、兄弟姉妹です。

なお、配偶者については常に法定相続人となることが決まられており、子・親・兄弟姉妹については、子か親か兄弟姉妹かのいずれかであることがポイントです。 

つまり、被相続人に子どもがいなければ、法定相続人は配偶者と親になりますし、被相続人が独身で配偶者がいなければ、法定相続人は親のみとなります。

被相続人に子どもも親もいなければ、法定相続人は配偶者と兄弟姉妹になるのです。

 

先日相談にいらいした高橋さん(仮称:78歳)のケースを例に挙げてみましょう。

高橋さんは配偶者(妻)とお子様2人を残されて他界されました。

この場合、法定相続人が3名ということになりますので、

基礎控除額は「3,000万円+500万円×3=4500万円」です。

  

このブログについてでも書きましたが、実際に相続税を申告し、支払いの義務が生じる方は、被相続人(亡くなった人)の10%といわれています。

しかし、「なるほどね、相続税を申告するのは一部の富裕層のみなのね!」とタカをくくるのは時期尚早です!

なぜかと言えば、思わぬ隠し財産が残っていることも多いにあるからです。

相続税の課税対象となるものは土地や建物などの不動産、預貯金などの現金だけではなく、株式や社債、生命保形金や死亡退職金など多岐に渡ります。

 

さらに、以下3つの財産も忘れがちです。

① 生命保険金や死亡退職金などの「みなし相続財産」

② 「相続開始前3年以内」の贈与財産

③ 「相続時精算課税制度の適用を受けた」贈与財産

これらを全て含めて、課税対象となる財産の総額を算出しなければなりません。

 

高橋さんの場合、財産の総額が3,000万円だと思っていたら、他に生命保険金が5,000万円あることに気付き、相続税の申告が必要なのか、奥様がご相談にいらしたのです。

 

では、高橋さんのケースで実際に相続税の申告義務があるのかどうか、相続税額はいくらになるのかみていきましょう。

まず、財産の総額8,000万円のうち、基礎控除と共にあらかじめ控除される金額があります。

それは生命保険金の非課税枠(金額)債務・葬式費用です。

 

生命保険金は、あらかじめ「500万円×法定相続人の数」が非課税とされます。

高橋さんの場合、法定相続人が3名ですので、1,500万円は非課税とされるのです。

さらに、葬式費用が200万円かかったとのことで、これも控除されます。

そして、先ほど計算した基礎控除4,500万円を差引すると、

8,000万円-(1,500万円+200万円+4,500万円=1,800万円

となり、相続税の申告と納付が必要な方々だということが判明したのです!

  

さて、課税対象となる遺産の総額を算出したら、次にやるべきことは、各人の仮の相続税額の計算です。

これは、遺産分割協議などで決められた実際の相続額ではなく、あくまでも法律で決められた相続税の総額です。

 

高橋さんの場合、法定相続人は、配偶者と子ども2人の合計3名ですが、それぞれの法定相続人の法律で決められた相続分はどのような割合かといえば、これは法定相続人となるものの属性で割合が変わります。

パターン分けすると、

① 相続人が配偶者と子どもであれば、配偶者が2分の1、子どもは2分の1

② 相続人が配偶者と親であれば、配偶者が3分の2、親は3分の1

③ 相続人が配偶者と兄弟姉妹であれば、配偶者が4分の3、兄弟姉妹は4分の1

となります。

高橋さんは総額8,000万円ほどの遺産があり、課税対象は1,800万円でした。

そして、①のパターンになるため、この課税対象となる金額を各人の法定相続分をで計算すると

配偶者   1,800万円×2分の1=900万円

子どもA         1,800万円×2分の1÷2=450万円

子どもB         1,800万円×2分の1÷2=450万円

となり、これが相続税の課税対象となります。

 

この各々の課税対象に対して、取得金額の税率と控除額を元に、相続税額を計算していくのですが、取得金額が1,000万円以下の場合、税率は10%で、控除額は0円です。

 

高橋さんの場合、配偶者である奥さまは90万円、子どもはそれぞれ45万円の相続税をそれぞれが申告し、納付する必要があることが分かったというわけです。

  

しかし!これはあくまでも法律で決められた相続税の計算方法です。

実際に遺産分割協議をし、それぞれの相続分が決められたら、それぞれの相続分に応じて相続税を支払うのは当然のことです。

高橋さんの場合、配偶者も子どもも全員同じ取り分にすることを決めたので、

相続税総額180万円のうち、それぞれが60万円ずつ平等に相続税を申告し、納付する義務を負うことになったというわけです。

 

 

いや~高橋さんのケースは、これでも案外シンプルな事案です。

本来であればもっと入り組んでいることが多く、専門家の力を借りなければ到底簡単に計算できるものではないと思います。

 

今日はこのくらいにしておきましょう!

頭の整理がついた気がします!