愛人が子どもと共に遺産相続を主張してきた!その権利は?

こんにちは!

こうのとりです。

 

 

今年は梅雨が長い?という印象がありますが、皆さまはどうお感じになられますか? 

雨が降っていると私の天敵であるヤブ蚊があまり飛ばないのでうれしいのですが、セミも鳴きはじめ、そろそろヤブ蚊たちも出てくるようになってます・・・。

もちろん、そんな時に欠かせないのは蚊取りリキッドなのですが、私はどちらかというと蚊取り線香のほうが好き。

ただ、、蚊取り線香で蚊が死んでいることを見たことないのですが・・・効果はいかほどなのでしょうかね・・・。

 

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【お香の香りは好きなんですが、蚊取り線香を浴びると煙臭くなるので注意です】

 

さて、今回ご紹介する案件のお客様は浜本様(仮称:42才)です。

浜本様は突然の事故でご主人を亡くされ、その後、遺産相続を粛々と進めておりましたが、そんな最中、ご主人の愛人を名乗る女性が訪ねてきて、ご主人との間にできた子供の養育費のため、遺産を分けてほしいと依願してきたそうです。

たしかに浜本様はご主人との結婚生活が破綻していたことは認めておられましたが、とはいえども、ご主人の愛人にまで遺産を渡したくはないとのことで、ご相談にいらっしゃいました。

 

さて、まずは愛人への遺産相続を考える前に、配偶者と愛人、そして内縁の妻について整理しておきましょう。

配偶者は紛れもなく民法上の婚姻関係にある異性を指し、愛人ただの恋愛関係にある異性を指します。そして、内縁の妻というのは、民法上の婚姻関係にはないものの、同居をして生計を一にしているなど、いわゆる事実婚の状態にある異性を指します。

つまり、遺産相続の権利を持つ法定相続人という観点からいえば、愛人や内縁の妻は法定相続人とされないため、遺産を相続する権利を有しないことになります。

 

しかし、愛人や内縁の妻が遺産を相続する方法が無いわけでは無く、その主たる方法が遺言であるといえます。

もし、被相続人が愛人や内縁の妻に「遺産を全て渡す」と書かれている形式上有効な遺言が残されていた場合、その遺言が尊重されることになりますが、もちろん、「全て渡す」という意思が残されていても、全てが記載どおりに尊重されるわけではありません。

被相続人をそそのかした愛人が悪いのか、結婚生活を破綻させていた配偶者が悪いのかという論点はさておき、法定相続人については遺留分という最低限の権利が残されているのです。そして、遺留分は法定相続分の2分の1と決められています。この権利がある以上、法定相続人は遺産を相続する強い立場を有することになります。

 

また、被相続人と生計を一にしていた内縁の妻に限っては、被相続人の身の回りの世話をしていたということで、特別縁故者への相続財産分与が認められるケースがあります。

ただし、これが認められるためには、被相続人に法定相続人がいないことを条件とし、家庭裁判所にて特別縁故者と認められる手続きが必要です。

 

それでは、愛人や内縁の妻の子どもについては、どうでしょう?

被相続人と愛人の関係がたとえ不埒であったとしても、彼らの子どもにも罪を負わせるのはあまりにも酷い仕打ちといえるでしょう。

そのため、愛人や内縁の妻の子どもについては、配偶者との間にできた子どもである嫡出子に対して、非嫡出子という区分であっても遺産相続が認められます。

さらに、2013年9月5日の法改正によって、嫡出子と非嫡出子が受け取れる相続分の差異が無くなり、被相続人の子どもとして法定相続を受けることが可能となりました。

 

ただし、非嫡出子として相続が認められるためには、父親が自分の子どもであると認知することが必要です。

認知がなされていない場合には、その子どもは遺産相続はおろか、父親に対する扶養請求すらできません。

その場合、認知の訴えを裁判所に対して起こすことになりますが、ここでは割愛とさせていただきます。

 

このように、いくら婚姻生活が破綻していたとはいえ、法定相続人の権利はしっかりと守られているため、正しく遺産を相続したいのであれば、法的に婚姻関係の解消、もしくは結ぶことが求められます。

 

相談者の浜本様は、遺産が全て自分のものにならなかったことに不満はあったようですが、認知されていた子どもにまでその責任を負わせることには自責の念があったようで、遺留分を相続することでご納得されたということです。 

 

本日は、ここまでといたしましょう。