共有不動産を相続した場合に単独でできることは限りある!

こんにちは!

こうのとりです。

 

コロナウィルスによって、主にバックオフィスの業務は

在宅ワークが推進されるようになっていますが、

なかなか根づかないのは日本固有のコミュニケーション文化が

身体に染みついているからなのでしょうかね?

喫煙所での会話や、飲みニケーションも風化しつつある今、

世代間ギャップも広がりつつあるなぁと思う今日この頃です・・・。

 

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 【昨年の慰労会。お酒は弱いけど、ご飯をしっかり食べると割り切って参加しますw】

 

さて、今回ご紹介する案件のお客様は森永様(仮称:68才)です。

森永様は、お父様の他界によって、地方にあるご実家を遺産相続することになりましたが、相続人の兄弟姉妹との話し合いの結果、ご実家が避暑地に所在していることもあるため、共有不動産として相続をすることにしたそうです。

森永様は兄弟姉妹が4人いますが、仲は良いとのことで、実家は別荘代わりとして、各々が利用したい時にすればよいという考えで一致し、持ち分を4等分にして相続をした後、5年が経った今まで、何ら問題なくご実家を共有してきたそうです。

 

しかしながら、兄弟姉妹の1人であるお兄様が他界し、この共有不動産の権利をお子様が相続することになってから、事態は変わってきました。

お兄様のお子様(甥っ子)は「シーズンオフに放置をしているのはもったいない。建物としての傷みもひどいのだから、土地も含めて売却を検討しないか?」と、残りの兄弟姉妹に相談を持ち掛けてきたのでした。

甥っ子様の主張もごもっともであり、経年劣化する遠方の不動産を誰が管理するかについては、いずれ問題となりそうな状況です。

しかし、相談の結果、残った3人の兄弟姉妹のうち、2人は甥っ子の主張に賛成でしたが、1人だけ「思い出の詰まった実家を手放したくない」と否定的であったため、甥っ子の提案はあえなく却下されてしまったとのこと。

この問題をきっかけに、これはいずれかの二次相続(遺産の権利者が後継者に移ること)後の紛争にもなりかねないとのことで、共有不動産の扱いについて、ご相談に来社されました。

 

共有不動産については、できることが限られています。

そして、その内容から、以下の3種類に分類されます。

1、単独でできること

2、共有持ち分を所有する割合が過半数以上でできること

3、共有者全員の同意のもとにできること

 

1、単独でできることについては、共有不動産の使用、修繕などの現状維持を目的としたリフォーム(保存行為)、共有持ち分の売却です(他に不法占有者への明け渡し請求や、虚偽の内容に関する登記の抹消請求)。

2、共有持ち分を所有する割合が過半数以上でできることについては、短期間に限っての賃貸物件としての貸し出し(利用行為)、資産価値を高めるようなリフォームやリノベーション(改良行為)です。

3、共有者全員の同意のもとにできることは、共有不動産の売却、建物の解体、建物の建築、抵当権の設定、長期間における賃貸物件としての貸し出し(これら全て処分行為)です。

 

共有持ち分の売却については甥っ子が単独でできるものの、活用が制限されている共有不動産の一部の持ち分だけを買う人はほとんどいないばかりか、相場よりもかなり安い値段となることは免れません。やはり、売却をするのであれば、共有者全員の同意をとりつけ、共有不動産全体を売りに出すべきでしょう。

また、空き家を賃貸物件として貸し出すことは可能ですが、短期か長期かによって同意を求める人数が変わってきます。土地については5年以内、建物については3年以内が短期とされており、この場合は共有持ち分の過半数以上の賛成で賃貸が可能となります。

 

今回の件で森永様は共有不動産の取り扱いの難しさを痛感されたようです。いくら兄弟姉妹の仲が良かったとしても、いずれはやってくる二次相続の結果として、それぞれのご子息同志で紛争になるようでは元も子もないと、現在の所有者同士で改めて実家の処分を話し合うことに決めたとのこと。

共有不動産の状態になるのは、相続の結果としてやむを得ずというケースはありますが、基本的には避けるべき状態であることは、認識しておかなければなりませんね。

本日は、ここまでといたしましょう。